【レビュー】Fake Earth

2020年2月25日

作品のレビューです。今回レビューする作品は、

Fake Earth
http://ncode.syosetu.com/n0556fr/

です。

どんな話?

高校生の藤堂頼助(とうどう らいすけ)は、ゲームセンターで出会った女子高生・凛子(りんこ)を助けるために、現実世界を完璧に再現したゲーム『Fake Earth』(フェイク・アース)に挑戦します。

ゲームの世界は見た目のみならず、プレイヤーも現実世界と一緒の状態。例えばダメージを受ければ痛みを感じ、大量に出血し、体力を消耗すれば動きが鈍くなり、ゲームオーバー(=死)に近づいて行く。

そしてゲームオーバーになったプレイヤーは過去の記憶も将来も全て奪われ、仮想現実の世界で一生生きなければならない。現実世界に戻ることは二度とできないわけです。

そんな過酷な条件の中でも頼助は敢えてゲームに挑戦します。それはゲームオーバーとなり、仮想現実の世界に閉じ込められたままであろう凛子を救い出すために…

レビュー

ストーリーは、ゲームの世界に転生する話です。

そして、その世界はファンタジーのような異世界ではなく、現実に限りなく近い世界。現実のようで現実でない。またゲーム空間という異世界のようで異世界でない…しかし、そこで繰り広げられる人間達はまさしく「現実世界」そのものなんです。

作品中のゲームの中で重視される要素の一つに「現実と仮想を如何に見分けるか?」というものがあります。一見ゲームの攻略法に思えるこれって、実は現実世界でも同様に起きている事ではないでしょうか?

現実世界には嘘、誤った常識。そしてデマといったものが日常的に蔓延している。しかし嘘を嘘と見抜く、あるいは常識を疑うといったことを本気で考える人は思ったより少ない。

 

「ゲームオーバー不可」がもたらす強烈な緊張感

Fake Earthの世界では、ゲームオーバーは出来ません。

とはいえ、ゲームオーバーは存在するのですが、そうなった人は仮想現実の世界に閉じ込められ、現実世界に戻ることは出来ません。そのためプレイヤーは「勝つ」よりも「負けない」ことが徹底して求められます。

むろん、それは他のプレイヤーも同様で、その生き残り方法は相手を騙したり、不意打ちを仕掛けたり…

極限の状況で緊張感漂うやりとりは、いつの間にか読み手が目の前で脅威にさせているような感覚に陥ってしまう。

 

何を信じれば生き残れるのか?

この作品の世界観に嵌った人、もしかしたら日常が非日常となり、今まで見ていたものが全く違ったように見えてしまうかもしれません。

そして「仮想現実を現実に見せる」作者の表現力も非常に素晴らしく、いつの間にか読者は「仮想世界の住人」になっている…

あまりに危険な「現実の世界」、ぜひあなたも体験してみては如何でしょうか?そして最後に明かされるであろうゲーム会社の存在、そして目的をぜひ確かめてみて欲しいと思います。

また、王道的な異世界ものに飽きた方もぜひ!

タイトル

Fake Earth

著者

Bird

掲載サイト

小説家になろう
http://ncode.syosetu.com/n0556fr/